さまざまなサル類を用いた研究を行なう上で、それぞれの研究に応じたサル種の試料は不可欠です。しかし一般的にはサルの資料入手は容易ではありません。またサル個体を用いることが不可欠な研究において、特にこれまで報告や前例のない新規研究では、どのようなサル種が最適なのか判断に苦慮する場合が見受けられます。こうした状況で非常に重要となるのは細胞レベルでの解析ですが、以前はサル細胞といえばアフリカミドリザル腎臓由来くらいしか入手できず、これではとてもサル種ごとの比較検討など不可能でした。私達は、独自の手法によりさまざまなサル種のTリンパ球細胞株(計12種37株)を樹立することに成功しました。このように同一の細胞種由来、同一の手法で樹立された、多様なサル種の細胞株樹立例は世界的にも例を見ない貴重なものです。現在、JCRF細胞バンクにおいて「霊長類細胞株コレクション」として紹介されるとともに、利用希望者に提供されています。
JCRF細胞バンク・霊長類細胞株コレクションのページは こちら
また、一部の細胞株は理化学研究所細胞バンク、英国NIBSC Centre for AIDS Reagents、米国Nonhuman Primate Reagent Resourceからも供与されています。これらの細胞株はさまざまな霊長類研究の基盤として大変貴重であるとともに、不必要な動物実験を回避する代替法としても非常に有効と考えられます。